
空間デザイナーという
資格は存在しない。
実際、空間デザイナーという職種はあれど、それに該当する資格は存在しません。なぜなら、非常に幅広い知見を必要とするのが空間デザイナーだから。それを網羅する判断基準なんて、現実味がありません。ただ、ひとたびネットでそれらしいワードを入れると、こんなものが挙がってくる。
- インテリアコーディネーター
- インテリアデザイナー
- 建築士
- CADオペレーター
- カラーコーディネーター
よくネット記事にこのような文言が書かれていて、「無資格からキャリアを積める業界」と勘違いしてしまうところ。しかしカバーできる資格がない(冒頭参照)だけで、建設という高度な専門性を持った分野に関わる以上、いずれかの資格を取ることが良いキャリアスタートです。筆者はとりわけ、建築士の取得が最も有効だと考えています。その理由をお話ししますが、まず、、、
建築物
という商材の特性を知る必要があります。建設業について少しお話ししましょう。
→→建築の業種。

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建築業は建設の指揮を取るゼネコンを上流工程とし、土木や塗装、設備など分野別に下流工程へと下請けしていきます。
建設業のジャンルとして、大まかに4種類に分けることが出来ます。

内装(クロス,
扉、…)

基礎・骨組み(躯体)

外装

インフラ・設備(水道、電気…)
これら4つのエレメントが、不動産業いわば「建つ土地」に乗っかる形で1つの建物が立っています。このように構造を把握して見たときに、建築士すなわち「設計」とは、”建物”という商品の形を決める最も重要な役割であることが分かります。
空間デザイン?What??
そもそも、「空間をデザインをする」とは何なのか。実は明確に分かれている訳では無く、色々な領域が混じり合っています。
まず空間デザインという言葉。建物が近代化し、ショッピングモールやビルなど、複雑で大きな構造物を扱うようになった時、”建築”とは別の領域として設ける必要が出てきました。ユーザーの心理にフォーカスした内装空間を専門に扱うもの。空間デザインはそうして生まれた概念です。
似たようもので、インテリアデザインという仕事があります。こちらは住空間や家具を使ったデザインを指すことが多いです。また、要望に応じて既存の家具をセレクトするインテリアコーディネーターというのもあったり。インテリアデザイナーは空間のプランに合わせて、一からプロデュースするのに対し、コーディネーターは壁紙や家具、照明やファブリックなど、既存の商材をメインに扱います。

さらに、一口に空間デザインと言っても色々な形が存在します。それは、デザイナーが所属する場所によって分けることが出来ます。業種別に、デザイン要素がある職種を分けて見ます。
ゼネコン
・工務店
:建築士
ゼネコンで働く建築士は、エリートと言えるでしょう。
企業例
竹中工務店、清水建設、大成建設..
設計
事務所
:設計士
設計事務所は普通、施工まで担当しません。設計に特化した職種で、アトリエ系と組織系に分かれます。
企業例
三菱地所設計、日建設計…
販売店
:デイスプレイデザイナー(VMD)
商品の陳列や売り方をプランニングする、販売業のデザイナーです。企業の中では、販促部や広報部に属します。
企業例
ファーストリテイリング(GU、ユニクロ)、ロフト…
家具/ハウス
メーカー
・インテリアデザイナー
・設計(CADオペ、パース作成)
ショールームやモデルルームのデザイン、お客様への提案などです。BtoBでは、クライアントへのプレゼンまで行います。
企業例
コクヨ、オカムラ../積水ハウス、三井ホーム..
展示会社
・デイスプレイデザイナー
・施工管理
イベントや企業のインスタレーション、舞台美術など、仮設をメインとしたデザイン。
企業例
照栄美術..
空間ディスプレイ業者
・デザイナー
・プランナー
・営業職
・設計職
・施工管理
企業例
乃村工藝社、スペース、丹青社…
商空間や自治体施設、病院や学校まで幅広いディスプレイ領域を扱い、企画から施工までワンストップで行う体制を持っています。かなり倍率が厳しい世界で、一部企業では学歴が採用の主軸になっていて、またポートフォリオのクオリティがかなり影響します。
ディスプレイ業など、空間デザインの網羅的業種では、一見デザインとは無縁の営業職や施工管理までもがデザイン要素を持ちます。なぜなら、このようなワンストップ型(設計から施工までカバーする業態)では、社内でデザイナーと密にコミュニケーションを取りながら竣工まで導くからです。”〜デザイン”という業種の企業を選択すれば、デザイン職に拘らずとも、常にデザイン的な職場環境を得ることが出来ます。
また家具メーカー・工房は、空間ディスプレイも手掛けている企業もあり、例えばオフィス用途で一斉に自社商品が導入される際、選定や提案という仕事も発生することでしょう。
商品の販促的な観点から、VMDを扱う仕事もまた一種の空間デザインかもしれません。ショーウィンドウで購買意欲を促したり、店のブランディングに則って商品を配置するっといった具合に。
もしくは経験を積んでフリーで、という活躍方法も視野に入れることが出来ます。

これを聞いてそう思うあなたなら、やはり設計を目指すべきです。この内、最も空間を総合的にデザインするポジションは、やはり設計者です。なんせ、設計者が図面を作り上げないと、その後のプランや施工段階に移ることさえ出来ません。空間の生みの親となる唯一の職種だと言えます。
空間に息を吹き込む=建築士
さあ、空間デザインについて理解した今、最後に考えるべきことが1つ。具体的にどのように空間デザイナーになれば良いのか??空間ディスプレイ業者や家具メーカーに就職し、空間デザイナーになれば良いのですが、こちらは人気が高く他の優秀な人材に埋もれてしまいます。その狭き門に対して他のルートを考えておく必要があります。
ここで、空間デザインを専攻していた筆者が集めた情報が、参考になれば嬉しいです。ある種地道な方法を使ってでも、この業界に入りたいという意欲に応えられるかもしれません。
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不動産(土地開発型)に就職する。
不動産にはこのような種類があります。
・家の貸し借りを手伝う仲介業
・売却と買取を担当する売買業
・地区単位で開発する開発業
この内、開発業はディベロッパーとも呼ばれ、建設工程においてはゼネコンに発注するクライアント側。土地取得を経て、企画という段階でデザイナー・設計士と共にデザイン案を練っていく仕事があります。
デザインに特化した専門業者ではありませんが、”街作り”などにも携われる可能性が高く、より大きな視点でのデザインを経験できるかもしれません。

施工管理から経験を積む。
「デザイナー」を目指すことが厳しいなら、施工管理を選ぶのも手かもしれません。近年、女性も活躍するようになってきましたが、工事を管理する仕事だけあって、職場環境はあまり良いとは言えません。特に未経験からキャリアを積むとなると、「誰でも採用」のような募集に応募し、入れ替わり立ち替わる人員の一部として、ブラックじみた勤務もありがちです(筆者も経験済み)。
ただ、設計から施工までカバーしている工務店のような業種の内、一部のベンチャーなどでは施工部門で数年働き、デザイン部署に異動希望を出せる、そんなフレキシブルなキャリアを積むことも出来ます。

忍耐力があるなら、設計事務所から。
設計士、建築士としてのキャリアを一から積みたいなら、中小規模の設計事務所から始めるのがオススメです。
特に魅力的なのはアトリエ系の設計事務所で、デザイン性を重視した設計を行っている類です。
ただし設計の現場は日々多忙を極めており、さらに入社してもすぐに設計を担当できるものではないようです。下積みとして、設計士のサポートや雑務などから挑戦の機会を待つということになるでしょう。
